ビールビール紹介

苦味と香りがクセになる!
IPAの特徴と語源についてまとめてみました

クラフトビールブームの昨今、「IPA(アイピーエー)」というビアスタイルを目にする機会も多くなっているのではないでしょうか。

私はこのIPAが大好きでして、色んな醸造所が色んな特徴を持ったIPAを製造している現状をとても嬉しく思っています。

しかし増えているとは言え一般的な知名度はまだまだだと思いますし、私自身もまだまだ勉強中の身ですので、今回は改めてIPAについて調べてまとめてみたいと思います。

「最近クラフトビールにハマりだした!」という方や「聞いたことあるけど詳しくは…」という方はぜひ読んでいただきウンチクを蓄えてくださいね^^

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「IPA(アイピーエー)」はホップを効かせたペールエール

「IPA」は「India Pale Ale(インディア・ペールエール)」の頭文字を取った略です。

ここで分類上の上位概念の話になりますが、「IPA」は「ペールエール」の一種、「ペールエール」は「エール」の一種となります。

「エール」はビールを大きく2つのスタイルに分けた片側で、上面発酵で15-20℃程度で醸造されるものを指します。一般に香り豊かでフルーティな風味になると言われています。

もう一方は「ラガー」で、下面発酵で10℃以下の温度で醸造されます。一般にキレと苦味が特徴のビールと言われ、日本の大手メーカーが製造しているのはほとんどがこちらの「ラガー」です。

「ペールエール」は淡い色の大麦麦芽を使用して醸造されるエールビールで、その中でもホップの使用量を多くして苦味と香りを強めたものが「IPA」というビアスタイルになります。

エールビールの簡単な分類

ビアスタイルの分類に関してはこちらのインフォグラフィックが参考になります。

fastcompany.com

ではなぜ「ホップの使用量を多くしたペールエール」が「インディア・ペールエール」と呼ばれるのでしょうか?

これはこのビアスタイルができた背景に由来します。

インド輸送用にホップを大量使用したビールを作ったのがIPAの始まり

時は18世紀〜19世紀、インドはイギリスの植民地であり交易の要衝でした。当時の往来手段は当然ながら船舶であり、そのため長い期間の航海に耐えられる「保存性」が食品には求められていました。

当時イギリスでは既にペールエールが醸造されて日常的に飲用されており、それを航海中ならびに輸送先のインドでも飲めるようにという要望が出てきました。それを受けて、防腐剤の役割を持つホップを大量に使用し保存性を高めたペールエールが製造されました。これがIPAの始まりというわけです。

つまり「インディア・ペールエール」の元々の意味合いは「インド輸送用のペールエール」ということですね。

その後、保存性という意味合いとともに風味面でも支持されることとなり、ホップの使用量を多くして苦味と香りを強めた「IPA」というビアスタイルが確立されたわけです。

イングリッシュスタイルIPAとアメリカンスタイルIPAの違い

「Beer Style Guidelines 2019」を見ると、

 ・English-Style India Pale Ale
 ・American-Style India Pale Ale

の2種類のIPAが記載されています。

https://www.brewersassociation.org/edu/brewers-association-beer-style-guidelines/

これら2つの特徴を簡単にまとめると以下のようになります。

イングリッシュスタイルIPAとアメリカンスタイルIPAの比較表

上で述べたように、そもそもはイギリスでインド輸送用に作られたのがIPAの起源ですから、元祖は「イングリッシュスタイルIPA」ということになります。

したがってイングリッシュスタイルIPAをベースに考えると、アメリカンスタイルIPAはホップ感も苦味もアルコール度数も「より強いIPA」と言えますね。

これは「より苦く、より強く」を求めたクラフト魂溢れるアメリカのブルワーが、IPAというビアスタイルを追求していった結果確立されたのでしょう。

現在ではアメリカのクラフトビールで最も多く醸造されているビアスタイルと言われており、アメリカでは非常に多種多様なIPAを楽しむことができます。

そしてここ日本のクラフトビール文化は基本的にはアメリカに倣ったものだとされており、「IPA」と言えばたいていは「アメリカンスタイルIPA」のことを指します。したがって日本では「IPA=強いビール」という認識でおおよそ問題ないと思います。

一方、元祖のイギリスでは「IPA」はそれほど強いビールではないと言われています。したがってアメリカンスタイルの認識でイギリスでIPAを飲むと「あれ?」と思うことなろうかと思います。

また、イングリッシュスタイルIPAは基本的には伝統的なイングリッシュホップを使ってその特徴的な香りを出したものとされており、香りの質もアメリカンスタイルとは異なるとされています。

このようにIPAにもさらに分類があってそれぞれに特徴があって…と考えていくとビアスタイルって本当に奥が深くておもしろいですよね^^

IPAを飲んでみましょう!

IPAについてウンチクを学んだところで、スーパーなどで比較的手に入りやすいIPAをご紹介したいと思います。

ホップが効いた苦味と香りをぜひお楽しみください^^

「インドの青鬼」(株式会社ヤッホーブルーイング)

長野県にあるヤッホーブルーイングさんが製造している、濃青の缶が目印の「インドの青鬼」

インドの青鬼 | よなよなエール公式ウェブサイト「よなよなの里」
クラフトビール「インドの青鬼」の販売ページです。アルコール度数 7.0%のIPA(インディアペールエール)。グレープフルーツのような華やかなホップの香りと強烈な苦味。

喉奥にガツンとくる苦味、その苦味にまとわりつくように拡がる華やかな香りがクセになるIPAです。

ホップの苦味がそれほど得意でない方は最初「苦すぎる!重い!」と感じられるかもしれませんが、慣れてくるとこの強い苦味がクセになって定期的にリピートするようになってしまいますよ^^

「FLYING IPA」(エチゴビール株式会社)

新潟県にある「全国第一号地ビール」でおなじみエチゴビールさんが製造している、鮮やかな青い缶に龍の絵が印象的な「FLYING IPA」

商品一覧-エチゴビール株式会社
全国第一号地ビール醸造所 エチゴビール株式会社のオフィシャルサイトです。

こちらのIPAももちろん苦いのですが、ガツンとくるというよりは苦味が通り抜けていく、という感じです。

苦味も飲み応えもしっかりありながら後味はスッキリとキレもあるので、気がつくとゴクゴク飲んでしまっているIPAです^^

「雷電カンヌキIPA」(オラホビール)

長野県にあるオラホビールさん(株式会社信州東御市振興公社)が製造している、ポップな色使いと日本的な紋様がとても印象的な「雷電カンヌキIPA」

こちらのIPAもしっかりと苦いですが、柑橘系の香りの拡がりもとても強いのでそれほど苦さを全面に感じないかもしれません。

苦さも香りも後味はキレていく感じで飲みやすくもあるので、飲み過ぎには十分な注意が必要です(笑

◇◇◇

さて今回は「IPA」というビアスタイルについてまとめてみましたがいかがだったでしょうか。

自分で改めて調べてみて、実は細かいところを整理できていなかったなと気付かされましたし、何より調べれば調べるほどビールの奥深さにハマっていく感じがして、おもしろいような、でも少し末恐ろしい感じすらありました^^;

引き続き色んなスタイルのビールを飲みながらしっかり知識も蓄えて、時折このような形でまとめていければと思います^^

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