みなさんこんにちは!
ここのところ涼しくなってきて「今年のビアガーデンも後少しかぁ…」などとちょっと寂しさを感じているにしやまるです。
さてそんな私、去る9/4(火)にミッドタウン日比谷で行われたイベント「Food Q Session 10 ビール 〜ビールの魅力と一杯の旨いから広がる可能性〜」に参加してきました!
トークセッションでビジネスに繋がるお話を聞けそうだなと思ったのと、何より旨いビールをビール好きの人たちと楽しくワイワイ飲めそうだったので参加を決めたわけですが、予想以上に気づきをたくさん与えてくれて、楽しさも満載のイベントでした。
ということで当日の様子を、登壇者の方々からいただいた金言を中心にご紹介していきたいと思います。
登壇者のご紹介
ファシリテーター:野田 幾子 さん
社団法人日本ビアジャーナリスト協会 副代表
株式会社コラボトリエ 代表
ビールの楽しみ方を広める活動をしておられる、ビールの伝え方のプロ。
さすがに知識豊富でお話の展開もとてもお上手。
単に登壇者一人ひとりに順番に語ってもらうのではなく、テーマを展開していきながら関係する登壇者の方に語ってもらうという、流れのあるセッションにしてくださってとても聞きやすかったです。
こういう仕切り方があるんだな〜ととても勉強になりました。
スピーカー:重富 寛 さん
株式会社重富酒店 代表取締役
ビールスタンド重富 マスター
「ビール注ぎ名人」と称される重富さん。
普段は広島でビールスタンドをされており、様々な種類の注ぎ分けによりビールを「完成品」に仕上げておられます。
ビールの力で地域を活性化させようとビールサーバーとともに日本中を旅し各地で生ビール大學を開校するなど、ビールを伝えることに精力的に活動しておられる方です。
スピーカー:新井 健司 さん
サッポロビール株式会社 Innovative Brewerブランド ブリューイングデザイナー
あの伝説の「SORACHI 1984」を手がけられた方。
研究開発、ドイツ留学、マーケティングなど幅広い経験をされて、現在ではクラフト事業部でブリューイングデザイナーとして活動されています。
スピーカー:土屋 友理 さん
キリンホールディングス株式会社 酒類技術研究所
酵母と発酵に関する技術開発を担当されており、「グランドキリン」シリーズを手がけられた方。
こういう若い方を派遣するってところにキリンさんの社風が見える気がしますよね。
スピーカー:永野 時彦 さん
宮崎ひでじビール株式会社 代表取締役
勤めていた株式会社ニシダにて、第一次地ビールブームの収束とともに廃業が決定された地ビール事業をEBO (Employee Buy-Out) により取得し、新会社「宮崎ひでじビール株式会社」として独立し同社社長に就任。
以来オール宮崎産原料のビール作りを目指すなど地方活性化に向けた様々なチャレンジに取り組まれている方。
スピーカー:山本 貴也 さん
ヒビヤガーデン実行委員会
このFoodQが行われたときに同時に開催されていた「ヒビヤガーデン」に実行委員会として参加。
2004年から日本各地でオクトーバーフェストの立ち上げに従事するなどビールイベント企画のプロの方です。
ビールに様々な形で携わる以上6名の方々によるトークセッションは非常に示唆に富むものでした!
特に印象的だった話をいくつかご紹介したいと思います。
スピーカーの皆さんからいただいた金言
「ビールは半完成品。注ぎ手が注ぐことによって完成品となる。」
こちらビール注ぎ名人重富さんのお言葉。
トークセッションの後に重富さんの注ぎ分けを体験させてもらったのですが、本当に同じビールとは思えないぐらい味が違う!
重富さんは、注ぎ手次第でビールの味は変えられる=どういう風に飲んでもらいたいか?という思いを注ぎ手が表現できる、というところから「ビールは半完成品」という考えを持っておられるとのこと。
一方ネガティブな側面から言うと、例えばサーバーやグラスの洗い方が悪いだけでビールの味は簡単に悪くなってしまう、というところもあり。
加えて、樽やビンは注ぐことを前提とされているため「半完成品」だが、缶は直接飲む人が多いため「完成品」となってしまう、という荷姿の違いによる飲まれ方の差についても言及しておられました。
これはいち研究開発者として非常に考えさせられる言葉でした。
こちらがどれだけこだわったビールを作ったとしても、飲まれる段階で良くも悪くも手が加わって、最終的な味が変わってしまうということですからね。
そういう飲まれ方まで考えて商品をデザインし、伝え方も考えていく必要があるのでしょう。
今までビールをそういう風に捉えたことがなかったため、深く印象に残る言葉でした。
「クラフトビールはプロダクトアウトで、自分たちが本当に飲みたいもの、作りたいものを作るという姿勢で。」
こちら宮崎ひでじビールの永野さんのお言葉。
マーケットインかプロダクトアウトか、という議論はいつでもどこでもよくなされますが、一般的には消費者のニーズを拾って、それを商品に繋げていくマーケットインが良しとされる場合が多いです。
しかし永野さんは、クラフトビールはそもそも大量生産に向いていないので、売れるものをを目指して売れすぎても困る、というお考え。
であるならば、自分たちが本当に作りたいものをプロダクトアウトの形でこだわって作って、それが受け入れられるのを目指すという姿勢で臨むべきとのこと。
みんなに求められるもの(=マーケットイン)は大手が頑張って作ってくれているので、小さな事業者はプロダクトアウトでこだわったものづくりをすべき、とのことでした。
この言葉もいち研究開発者として深く心に残りました。
大手は数量を求めなければならないのでマーケットインの思考が必要、小さいところは数量を求めることができないので逆にプロダクトアウトで臨める、という整理の仕方は今までしたことがありませんでした。
もちろんマーケットを全く無視したものづくりはありえないとは思いますが、プロダクトアウトをベースに成功している方がいるというのは非常に勇気をもらえますね。
「原料に対する飽くなきこだわりを持つ。」
これはサッポロの新井さん、キリンの土屋さん、宮崎ひでじビールの永野さんの製造者3名が口を揃えておっしゃっていたことです。
もちろん製造法も重要なのですが、まず原料に対する強いこだわりがいいものづくりに繋がると。
例えばサッポロでは昔から大麦やホップの育種に取り組んでおり、そのなかからソラチエースのようなものが生まれてきていたり、キリンでは現在京都産原料100%のビール作りにチャレンジしていたり。
宮崎ひでじビールでは水、麦芽、酵母も自前、3年ほど前からホップの生産にも挑戦しており、生産量は少ないものの採れるようにはなってきていて念願の100%地元産のビール作りに着実に近づいているとのこと。
そしてこれらのこだわりがきちんと消費者に理解されて、いいものとして受け入れられているというのが現在の状況であるとのことでした。
私としてもメーカーを立ち上げた際にはやはり原料にこだわりたい気持ちが強く、そこを通じて一次産業に絡んでいきたいという想いがあるので、製造者の皆さんの原料に対する熱い想いをたくさん聞けて大変勇気づけられました。
「ストレスがかかって、その後のビールがいちばんうまい!」
こちら重富さんのお言葉。
ビールには色んな種類があって味や香りも様々で、楽しみ方は千差万別だけれども、結局1日の仕事終わりに飲むビールがいちばんうまい!とのことでした。
曰くストレスがずっとかかってそれがグーッと溜まっていって、それを開放する時に飲むビールが最高なのだと。
確かにうまいビールはたくさんありますが、会社員時代1日仕事して疲れて21時、22時過ぎに飲み始めるジョッキの1杯は最高にうまかったですからね。
ビールの価値訴求は多様化してきていますが、やはり「仕事終わりの一杯」という部分はビールの強みであるので、「ゴクゴク飲む!ただただうまい!」も大切にしていきたいですね。
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さて今回は先日参加したイベント「Food Q Session 10 ビール 〜ビールの魅力と一杯の旨いから広がる可能性〜」で受け取った金言をご紹介しましたがいかがだったでしょうか。
ビールだけにとどまらずものづくり全般に通ずる要素もあり、皆さんそれぞれの立場によって感じるところがあるのではと思います。
これからもこういった有意義なイベントには積極的に参加して、今の自分にないものをたくさんインプットしていきたいと思います^^
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